以前から『一度詳しく解説した方が良いのではないか』と社内からも意見がありましたので、今回は知ってるようで知らない、知ってて絶対損はしない写真の話をしたいと思います。

皆さん写真はフイルム派ですか? デジタル派ですか?

フイルム派の方は当然写真はプリントしたものしかありませんよね?

その写真を原稿として業者に渡す時、どうやって渡してます?

え? フイルムしかない? いやいやいやいや、それはちょっと困りますよぉ。

デジタル派の方もデータが消えてしまってプリントしかないって場合ありますよね、そんな時どうしてます?

デジタル派の方は写真を撮る時に最低限やっておいた方がいい設定があるのをご存じですか?

データを業者に渡す時に落とし穴があるって知ってました?

とまぁ、ある意味しょうもない事なんですが、コレをやっておけばきっと後悔しなくて済む小ネタです。

どうぞお付き合いください。

 

『プリント写真を業者に渡す時の注意点』

【原稿は極力キレイな状態をキープしましょう】

 今現在、印刷業界はほぼデジタル化しています。なので、プリント写真は『スキャナー』と言う機械でデジタル化してからパソコンに取り込んで使用します。

年季の入った写真ですと、色の劣化はもちろん、こすれたり、折れたりして傷がついていたりします。これは仕方がない事です。しかし、原稿として渡す時に、使いたい部分にわざわざ傷を付けるような行為はやめましょう。

残念写真1 裏に文字B残念写真1 裏に文字C① 写真の裏面に強い筆圧で字を書かない

 この写真は●●さんと写真の裏に力強く記入すると、オモテ面にその跡が付きます。その跡は以外と目立ちます。

 

 

残念写真2 顔にクリップB② クリップをメインの場所にとめない

 別のメモ用紙に●●さんと書いてクリップ等でとめる場合、堅いクリップですとクリップの形に跡がつきますし、クリップを外す時にひっかかって傷が付くこともあります。これらの傷も当然バッチリ写りこんでしまいます。

 

 

残念写真3 顔に粘着B③ 付箋もメインの場所に貼らない

 付箋なら大丈夫と思われるかも知れませんが、付箋にも粘着力がやたら強いものがありまして、それを使用した場合、使いたい部分に粘着が残って汚れの原因になります。

 

 

④ プリント写真を直接重ねて保管しない

 稀に写真同士がくっついてしまう事があります。丁寧にはがそうとするんですが限界があり、傷が出来たり最悪の場合重要な部分が破れてしまいます。

 

せっかく撮った写真がこんな事になったら悲しいですよね。そこで理想的な方法を伝授します。

【付箋に必要事項を記入して、写真の裏に貼りましょう】

ついでにオモテ面の保護の為にティッシュ等で包んでいただければ更にグー!

複数枚数ある場合には、写真とティッシュ等を交互に挟んで頂けると大変有難いです。

 

ご自身でスキャンする時の注意点

【画像のデータ容量は大きくて当たり前】

何らかの理由で、ご自身でスキャンをしなければならない事もあるかと思います。その時にちょっと設定をいじっておくだけで印刷の不都合がかなり緩和されます。

しかしその設定は大抵データ容量が大きくなるものです。すみませんが、そこは諦めてください

各メーカー、各ソフトによって名称が違いますが、設定していただきたい内容はみな同じです。こちらでは内容を説明しますので、対応する設定項目はお持ちの取扱説明書などで確認してください。

① 原稿サイズ(拡大縮小などの項目です)

 基本は100%(原寸)です。ここは変に触らないでください。

② 解像度(画質の設定です)

 350dpiが最低ラインです。拡大して使用する可能性があるならば600dpiでお願いします。が、かなりデータ容量が大きくなります。もともと小さい写真を大きく使いたい場合は一度業者に相談した方がいいと思います。

③ 保存形式(フォーマットとも言います)

 推奨は1番TIFF、2番JPEG、3番PDFです。これはお使いの機種により設定できない形式もありますので、対応できる形式でお願いします。どの形式を選んでも必ず圧縮率ですとか、画質のキレイさを設定できるようになっていますので、そこは必ず1番キレイな(圧縮率が低い)設定で保存してください。当然データ容量は大きく…

 最近のスキャナの中には、スキャンしたデータをofficeの形式に変換するものもあるようですが、この方法は使わないでください。お客さまが自宅で使用する場合には問題ないと思いますが、業者で使用する場合には不都合が多く、無駄に時間がかかってしまいます。最悪約束の期日に間に合わないかも…

切実なお願いです

 業者でスキャンする場合も、お客様にスキャンしていただく場合も同じですが、スキャンする写真にもともと写っていないものはスキャンしても存在していません。

顔写真を掲載する時によくある話なのですが、頭が途中までしか写っていない写真ですとか、お顔だけが大きくクローズアップされた写真を提供されたのに、他の方々にあわせて調整してほしいと言われましても、こちらでは拡大縮小するぐらいしかできません。物理的に存在しないものはデータにしてもありません。その辺りの事もふまえてお写真を揃えていただくと、業者はとっても喜びます。

 

フイルムしかない場合

一度業者と相談してください。

 

カメラの設定について

最近のスマホは写真もキレイですよね。しかもそのままデータを送信できてとっても便利! でも、そこに落とし穴があるんですよ。

●携帯スマホで撮影する場合

【データは大きく保存しましょう】

① 撮影サイズ

撮影サイズは出来る限り『最大のもの』を選択してください。当然データ容量は大きく……(以下略)

ただし、『HD』と書いてあるサイズは選ばないでください。

iPhonの場合この設定自体がないらしいです。その場合はカメラ機能を信じて頑張りましょう。(使わないのも一つの手です)

② リサイズ禁止

 そのままメールに添付して業者にデータを送ろうとした時に、添付サイズがオーバーしてるとメッセージが表示される場合があります。この時、機械が勧めているからと言ってリサイズしてはいけません。せっかく大きく撮ったデータが小さくなってしまいます。一度小さい容量にしたデータはどんなにがんばっても容量が大きかった時の美しさには戻りません。

 そのままじゃ送れないじゃない! まったくもってその通りです。その場合データ転送サービス(一部有料)を利用するか、別のメディア(USBメモリなど)にコピーして渡すなど、他の方法を使ってください。

 

●デジカメで撮影する場合

 デジカメで撮影する場合、撮影モードはAUTOで構わないのですが内部の設定にはご自身で変更しないといけないモノがあるって知ってました?

 コンパクトデジカメもミラーレス一眼も一眼レフも、注意していただきたい設定はみな同じです。ここでは一般的な名称で記載していますので、同じ内容の項目が何に該当するのかはお持ちの取扱説明書で確認してください。

① 感度(ISO)

 100もしくは200を推奨します カメラによって設定できる数値がちがうので一概には言えませんが、ISOは低めの方がキレイな画像になります。あまりに高い数値を設定するとザラついた画像になりますし、場合によっては真っ白に写ります。ただし以下の場合は注意してください。

 ⑴ 撮影場所が暗い場合

 できれば三脚を使用していただきたいですが、お持ちでない場合にはISOを上げてください。だいたいどの機種でも800までなら問題ありません。

 ⑵ フラッシュを使用する場合

 ISOは低めに設定しましょう。ISOを高く設定した状態でフラッシュを使用すると肝心の物が真っ白になります。

② サイズ

 Lなど最大のモノを推奨します 機種によってはその付近に『●:●』という表記(アスペクト比と言います)があると思いますが、これはどれでもかまいません。ぶっちゃけ写したいものが欠けることなく画面に収まっていればいいんです。

③画質

 FINE(1番いいやつ)や『gasitu OK』マークのものを推奨します。もしもA5以下のサイズでしか使わないと断言できるのでしたらNORMAL(標準もしくは真ん中)でも構いません。この設定とは別に『gasitu OK』か『gazitu dan』か選べる場合には、絶対『gasitu OK』を選んでください。画像の滑らかさに差がでます。

④保存形式

 JPEGで構いません。 RAWという形式が使えるカメラもありますが、このデータを業者にわたすのは非常に稀です。A2以上のサイズのポスターにどーんと写真を使いたいんだ。っという時にはRAWがあった方がいい場合もあります。ただしこのデータはおそろしく重いです。メディアの容量に余裕があるのでしたら両方保存しておくのも一つの手でしょう。

⑤ホワイトバランス(WB)

 推奨はAUTOです

 カメラの機種によっては、撮影モードをAUTOにしている時は①~⑤のうちどれかは変更出来ない物もあるそうです。そんな場合には設定出来る所だけでも変更してみてください。また、変更できるのに買ったまま一度も設定を変更したことがないという話もよく聞きます。せっかく高いお金を払って印刷するのですから、ちょっと頑張ってみませんか?

 

おまけ

 頑張って撮影してくださるお客さまのために、ちょこっとだけ『撮影時のポイント』をお教えしましょう

室内で写真を撮る場合、電気の色はそのまま写真に反映されてるって知ってました?

 例えば白い服を撮影したのに、データを確認したら妙に赤っぽかったとか、屋外で撮ったデータを確認したら微妙に青っぽかったとか……心当たりのある方は是非こちらを試してみてください。

 変更するのはホワイトバランス(WB)です。これは白いモノが白く写るように調整する機能です。

 撮影時のホワイトバランス(WB)は基本AUTOで構いませんが、実際にはAUTOではカバーしきれない場合があります。その場合にはホワイトバランスを変更するといくらかマシになります。

 例えば、部屋の電気が赤っぽいなら電球のマーク、屋外の撮影でも晴天と曇天と日陰で設定を変更できます。是非試してみてください。

 くどいようですが、ホワイトバランスAUTOで納得できなかった場合ですよ?

 設定を変えて撮影して、納得のいく写真が撮れたら設定はもとのAUTOに戻しておくといいです。次に使う時にギャーッという事になりますから。

 

『逆光』って聞いたことないですか?

 人の写真を撮る場合、窓を背景に撮影される方が多数いらっしゃいます。窓の外の景色が一緒に映ればいい感じの写真ですよね。しかし、大抵は窓からの光が強すぎて、肝心のお顔が真っ暗な残念写真が出来上がっています。この状況を『逆光』と言います。聞いたことないですか?

 どうしても窓を背景にしたい場合には、フラッシュ(ストロボ)を発光させましょう。オート設定の場合、発光しない事がありますので、強制発光に設定するといいです。絶対に光ります。ただし、電池の消耗も早くなりますのでお気をつけて。

 フラッシュの光が窓に反射したのが映り込むとそれはそれで残念写真ですよね。なので窓は開放しておきましょう。

 

カメラに内蔵されてるフラッシュの光ってどこまで届くと思います?

 これも機種によって様々ですが、コンパクトデジカメでしたらだいたい5メートルが限度です。なので写真を撮る人は写したい人から5メートル以上離れてはいけません。せっかくの光が届かなくなってしまいます。ただし、近すぎると今度は写したい人の目が眩んでしまったり、オデコがピカーっと輝きますのでその辺は加減してください。

 背景が壁であっても、蛍光灯などの光源が人の真上や後ろにある場合も、同じく『逆光』状態ですので注意してください。

 フラッシュをつけたら後ろの壁にバッチリ影が出来るからヤダ! とおっしゃる方は、写ってもらう人(被写体)に壁から離れてもらうといいです。

 
写真が歪んでるって知ってました?

 3~4人で並んで記念写真。よくあるシチュエーションですよね。この時、少しでもお顔を大きく載せたいからと画面いっぱいいっぱいに撮ってませんか?

 カメラの特性上、四方は画像が歪みます。分かりやすい言い方をすると、端っこにいる人はみんな太って写るということです。なので画面一杯に人を入れるのはやめましょう。

 じゃあどうすればいいんだ! そんな時はまず撮影する人が離れましょう。

 4メートルぐらい離れたら、大抵はまわりにゆとりができます。小さすぎると思ったらズームで寄せるか、自分が近付くかして調整しましょう。

 

ピンボケ写真ってよく聞きません?

 ピントがあってない写真の事ですが、実は撮影する人の腕がプルプルしててもピンボケするって知ってました? 三脚をお持ちなら是非使用してください。お持ちでない場合は、両肘を台に乗せたり、片肘を壁に付けるなどして安定させると効果があります。どこかに置いて撮影するのも有りです。

 せっかく三脚を使用しているのにシャッターを指で押しては意味がありません。レリーズ(リモコン)をお持ちでない場合はセルフタイマー機能を使用すると安全です。

いかがでしたでしょうか、参考になりましたでしょうか。

このポイントは旅行の時の撮影などでも役に立つと思いますので、ぜひ活用してみてください。

では、また。